FXのポジショントレードってどんな手法だろう?
ポジショントレードのやり方ってどうやるの?
FXのトレードスタイルの中で、ポジショントレードは長期に取引を行う手法です。
長期的なトレードスタイルなので、時間がない方でもFX投資を行うことができます。
そんなポジショントレードのメリットやデメリット、やり方のコツを解説します。
ポジショントレードとは?
ポジショントレードは、数週間から数か月、長い時には年単位でポジションを保有する長期的な視点でトレードする手法です。
FXのトレードスタイルは主に下記の種類がありますが、ポジショントレードは中長期的な視点で為替レートの方向性を見極め、1回のトレードで大きく利益を狙うスタイルです。
ポジション保有期間 | 狙う利幅(目安) | |
---|---|---|
スキャルピング | 数秒~数分 | ~10pips |
デイトレード | 数分~1日 | 数十pips |
スイングトレード | 1日~数週間 | 100pips以上 |
ポジショントレード | 数週間~数年 | 100~1,000pips |
1回のトレードで数百pipsを狙うトレードスタイルなので、例えば米ドル円が100円の時に1万通貨でトレードした場合、得られた利益が500pipsであれば5万円、1,000pipsであれば10万円の利益となります。
取引数量 | 必要証拠金 | 利益(500pipsの場合) |
---|---|---|
1,000通貨 | 4,000円 | 5,000円 |
10,000通貨 | 40,000円 | 50,000円 |
100,000通貨 | 400,000円 | 500,000円 |
また、FXでポジションを保有していると二カ国間の金利差であるスワップポイントを日々得ることができます。
スワップポイントは為替差損益と比較すると小さいですが、例えば低金利を続けている日本と外国の金利差は数%から数十%の差があるので、日本円を売って外国通貨を買う例えば米ドル/円のような通貨ペアを買えばスワップポイントの利益も期待できます。
ポジショントレードのメリットとは?
トレンドに乗って大きな利益を目指せる
ポジショントレードでは基本的に一方向のトレンド(方向性)が出ている相場を見極めトレンドの方向にポジションを保有するトレードを行います。
このトレードのことを「順張り」と言い、価格が上昇トレンドの時には「買い」、下落トレンドの時には「売り」をする手法となります。
例えば下記は米ドル円の日足ですが、赤い水平ラインのあたりで大きく上昇トレンドに入っています。
2022年3月にオレンジの丸円あたりでポジションを保有し2022年10月にポジションを決済していたとすると約3,500pipsの利益を得られていました。
1万通貨なら35万円、10万通貨なら350万円の利益にスワップポイントの利益も貰えていたということになります。
米ドル円でここまで大きなトレンドが発生するのはまれですが、このようにトレンドに乗れれば大きな利益を得ることも可能です。
エントリーにそれほど気を使わなくてもいい
FXで「エントリー」は新規でポジションを持つことを言いますが、スキャルピングやデイトレードで狙う利益幅はそれほど大きくないため、エントリーするタイミングは重要になってきます。
ポジショントレードは、一度のトレードで大きな値幅を狙うのでエントリーするタイミングは1分1秒を争うようなタイミングを狙わなくても十分に利益を得ることができます。
短期的な値動きは気にしなくていい
為替レートは常に変動していますが、短期的には思惑と逆方向に動くこともあると思います。
ただポジショントレードで狙うトレンドは一度発生するとその傾向が続きやすく、一時期逆方向に動いたり、横ばいになったりしますが明確にトレンドが終了するまでは保有したままでいいので短期的な値動きは気にしなくて済みます。
ただ、重要な経済指標や要人の発言でトレンド転換が起こることもあるので、重要なニュースはチェックしておく必要があります。
チャートに張り付いてる必要はない
ポジショントレードでは中長期でポジションを保有するので、頻繁にチャートを見る必要はありません。
スキャルピングやデイトレードのような短期のトレードスタイルの場合は、1回のトレードでの利益は少ないので取引回数を増やすため、頻繁にチャートの確認をする必要がありますが、ポジショントレードはその必要はありません。
そのため、例えば日中は忙しくてチャートを見られなくても週末等の休日を利用して分析を行いトレードを行うこともできます。
トレード回数が少ないので取引コストを気にしなくて済む
FXではほとんどのサービスで取引手数料は無料ですが、スプレッドと言われる取引コストがかかります。
スキャルピングやデイトレードの場合は頻繁に取引を行うので、なるべく取引コストが少ないFXサービスを利用しないとコストがかさんでしまいます。
その点ポジショントレードは取引回数が少ないので、短期取引よりは取引コストを気にする必要がありません。
それよりは、長期間ポジションを保有するの信頼性が高いFXサービスや、スワップポイントが平均的に高い水準となっているFXサービスを選ぶ方が適しています。
ポジショントレードのデメリットは何?
ポジションを長期で保有しているためリスクは高くなる
ポジショントレードではポジションを長期で保有するので、その間には様々事象が発生します。
長くポジションを保有すればするほどトレンドの転換時にも保有する可能性も高くなり結果としてリスクも高くなります。
とはいえ一時的に逆の値動きをしたからといってすぐに決済してしまっては十分な利益を得ることもできなくなります。
そのため、何をもってトレンド転換と判断するか事前に決めておく必要があります。
トレンド転換を判断する材料としては、ダウ理論やチャートパターン、テクニカル指標などがあります。
資金効率は良くない
ポジショントレードは頻繁に取引するわけではないので、短期トレードと比べると資金効率が悪く、資産が増えるスピードも短期トレードの方が速い可能性があります。
また長期でポジションを保有するので資金が拘束され、他の取引チャンスを逃してしまう可能性もあります。
トレードチャンスは多くはない
FXの相場はトレンド相場が3割、レンジ(横ばい)相場が7割程度と言われているので、トレードチャンスは多くはありません。
そのために、1つの通貨ペアだけでなく複数の通貨ペアをチェックしておく必要があります。
損切り幅は比較的大きめ
ポジショントレードは、長期でポジションを保有するの一時的に思惑と逆方向の値動きとなっても損切りされないように損切りする値幅は大きくなります。
そのため、もし損切りとなった場合には損失額も大きくなります。
そのためポジショントレードでは、レバレッジは低めに抑えて損切りされにくくする必要があります。
スワップポイントを支払い続けなければいけない場合がある
FXではポジションを保有している間は2カ国間の金利差であるスワップポイントが発生します。
高金利通貨を買って低金利通貨を売ればスワップポイントはプラスとなり毎日受け取ることができますが、逆の場合はマイナスのスワップポイントが発生し日々支払いが発生します。
例えば国内大手FX会社であるGMOクリック証券の米ドル円の10,000通貨のスワップポイントは下記のようになっています。
米ドル円の買いのポジションを保有していれば例えば8月1日は216円もらえてましたが、売りのポジションの場合は219円の支払いが発生しています。
ポジショントレードで成功すれば大きな値幅を狙っているので、スワップポイントはそれほど大きな負担ではないように思えますが、長期になればなるほど為替差益による利益が少なくなってしまいます。
そのため、出来ればスワップポイントがプラスの方向のポジションを持った方が良く、またエントリーしたい方向がマイナスのスワップポイントが発生するのであればなるべくマイナススワップポイントが小さいFX会社を選ぶ必要があります。
ポジショントレードのやり方のコツとは?
ポジショントレード向きの通貨ペアを選ぶ
ポジショントレードでは長期間ポジションを保有して大きな利益を狙います。
為替差益だけでなく同時に、スワップポイントでの利益も得ることができるので特定の通貨ペアを選ぶことが大切です。
どの通貨ペアが適しているか、以下のような特徴で判断することができます。
- 取引量が多い通貨ペア
- 値動きが大きい通貨ペア
- トレンドが発生している通貨ペア
- 金利差が大きい通貨ペア
取引量が多い通貨ペアは、値動きが比較的予測しやすく予期しない値動きはあまり発生しないので比較的安定した値動きが期待できます。
また、値動きが大きくトレンドが発生している通貨ペアはトレンドに乗って利益を狙うポジショントレードに向いていて、値動きが大きければ大きいほど期待できる利益も大きくなります。
ポジショントレードは長期でポジションを保有するので金利差が大きい通貨ペアでトレードすればスワップポイントでの利益を得ることも可能です。
取引量が多くテクニカル分析がし易い「米ドル/円」「ユーロ/米ドル」や、「豪ドル/円」「NZドル/円」「カナダドル/円」も金利差が大きくスワップポイントでの利益も期待できます。
このような通貨ペアでトレンドが発生していたらポジショントレードのチャンスとなります。
経済情報や為替ニュースを確認する
ポジショントレードのような中長期の投資では、トレード対象となる通貨の国の金融政策や経済状況などを分析するファンダメンタルズ分析が重要です。
ファンダメンタルズ分析では主に下記のデータを確認します。
- 経済指標:各国の政府や中央銀行が発表する経済データ
- 金融政策:政策金利の動向など
- 要人発言:各国政府や中央銀行で重要なポストに就いてる方の発言等
- 地政学的リスク:紛争や各国間でのトラブル等
このようなデータの発表後に相場が急変したり、トレンドが変わる要因となったりします。
一般のニュースではこのような情報は入手しづらいですが、投資対象となる国の経済情報のニュースなどは、FX会社が提供するより専門的なニュースなどで確認することをおすすめします。
レバレッジは低めに抑える
ポジショントレードは長期保有のため、その間には一時的に思惑とは逆の方向に値が動くことがあります。
レバレッジをあまり高くしすぎると、そのような値動きの際にロスカットされてしまうようなことがあり得ます。
ロスカットされてしまっては損失が確定し大きな損失となってしまいます。
そのためポジショントレードをするならレバレッジは1~3倍程度に抑えておく必要があります。
スワップポイントが高いFX業者を利用する
ポジショントレードは長期間ポジションを保有することから、プラスのスワップポイントであれば毎日貰い続けることができます。
スワップポイントはFX業者によって異なるので、投資する通貨ペアのスワップポイントが安定的高い水準にあるFX業者を選んだほうが利益が増えることになります。
まとめ
ポジショントレードは、数週間から数か月、長い時には年単位でポジションを保有する長期的な視点でトレードする手法で、下記のようなメリットやデメリットがあります。
- トレンドに乗って大きな利益を目指せる
- エントリーにそれほど気を使わなくてもいい
- 短期的な値動きは気にしなくていい
- チャートに張り付いてる必要はない
- トレード回数が少ないので取引コストを気にしなくて済む
- ポジションを長期で保有しているためリスクは高くなる
- 資金効率は良くない
- トレードチャンスは多くはない
- 損切り幅は比較的大きめ
- スワップポイントを支払い続けなければいけない場合がある
ポジショントレードは、トレンドに乗れれば大きな利益が期待でき、スワップポイントも毎日貰うことができ基本的にはほったらかしできる手法です。
ただ、トレード対象となる通貨の国の金融政策や経済状況などのニュース情報だけはトレンドが変わるような要因がないかは確認するようにしましょう。